1肋間神経痛とは
1-1. 肋間神経痛の定義
肋間神経痛とは、胸郭内にある肋間神経(肋骨と肋骨の間を走る神経)が何らかの原因で炎症や圧迫、損傷を受けることで発生する痛みのことです。痛みは、胸部や背中、場合によっては腹部にかけて感じられることがあり、鋭い刺すような痛みや、焼けるような違和感として表れることが特徴です。
ポイント: 肋間神経痛は神経自体が障害を受けるため、筋肉痛や関節痛とは異なる痛み方をします。
1-2. 肋間神経痛の一般的な原因
肋間神経痛の原因は多岐にわたります。代表的なものとしては:
・外傷・打撲: 転倒や激しい衝撃により肋骨やその周囲の組織が損傷し、神経が刺激される場合
・筋肉の緊張: 長時間の同じ姿勢や過度な運動、ストレスによる筋肉の硬直が神経に負担をかける場合
・帯状疱疹: ヘルペスウイルスによる皮膚疾患で、発症後に残る神経の痛み(帯状疱疹後神経痛)
・姿勢の悪さ: 長時間のデスクワークやスマートフォンの使用により、胸郭周囲の筋肉が固まり神経に圧迫がかかる場合
1-3. 肋間神経痛の種類
肋間神経痛は、その発症原因や症状の現れ方によりいくつかの種類に分けられます。
1-3-1. 筋肉・骨格起因型
日常生活や運動中の小さな外傷、過度の筋肉の緊張によって生じるタイプ。
特徴: 痛みが一過性で、安静や適切なストレッチで改善することが多い。
1-3-2. 圧迫・損傷型
肋骨のずれや骨折、神経の圧迫による痛み。
特徴: 痛みが持続し、動作や深呼吸で悪化する場合が多い。
1-3-3. 帯状疱疹後神経痛型
帯状疱疹の発症後に残る神経の炎症・損傷が原因。
特徴: 皮膚の発疹が消失しても、神経のダメージにより長期間にわたる痛みが残る。
補足: 免疫力が低下している高齢者やストレスの多い人に多く見られます。
2肋間神経痛の原因とメカニズム
肋間神経痛は単一の原因だけでなく、複数の要因が複雑に絡み合って発症することが多いです。ここでは主な原因とそのメカニズムについて説明します。
2-1. 筋肉の過緊張による神経の圧迫
長時間の不良姿勢や過剰な運動により、胸部周囲の筋肉が緊張すると、肋間神経が圧迫されやすくなります。
- メカニズム: 筋肉が硬直することで、神経の通り道が狭くなり、刺激が生じる。
- 対策: 定期的なストレッチや適度な運動で筋肉をほぐすことが予防に繋がります。
2-2. 外傷や打撲による肋骨・神経の損傷
事故やスポーツによる外傷、または激しい衝撃により肋骨に亀裂や骨折が起こると、隣接する神経が直接損傷を受ける場合があります。
メカニズム: 骨のずれや骨折によって、神経が引っ張られたり、直接圧迫されることで痛みが発生。
注意: 症状が続く場合は早期の専門医受診が必要です。
2-3. 帯状疱疹による神経炎症
帯状疱疹ウイルスに感染すると、発疹とともに神経が炎症を起こします。その後、皮疹が消えても神経痛が残る場合があります。
メカニズム: ウイルスが神経内に侵入し、炎症反応を引き起こすため、持続的な痛みが生じる。
補足: 免疫機能が低下している方は特に注意が必要です。
2-4. 姿勢の悪さや生活習慣の影響
日常生活における不良姿勢、長時間の座位、ストレスや睡眠不足などが、肋間神経への負担を増大させる要因となります。
メカニズム: 姿勢の悪さにより、胸郭や背骨の歪みが生じ、結果として神経に不自然な圧迫がかかる。
対策: 定期的な休憩と姿勢改善、ストレス管理が効果的です。
3 肋間神経痛の症状と診断
3-1. 症状の種類
肋間神経痛の主な症状は以下の通りです。
・痛みの部位: 主に胸部、背中、そして場合によっては腹部に広がる。
・痛みの性質: 鋭い刺すような痛み、あるいは焼けるような感覚。
・発作的な痛み: 呼吸や体の動きに合わせて一時的に強くなることがある。
・持続性: 外傷や過緊張による場合は数日~数週間、帯状疱疹後は長期間に及ぶことも。
3-2. 自己診断の注意点
自己診断で「肋間神経痛」と決めつけるのは危険です。なぜなら、胸部や背中の痛みは心臓や肺など他の重要な臓器の疾患と似た症状を呈する場合があるためです。
注意事項:痛みの程度や持続期間、他の症状(発熱、息切れなど)を記録する。
市販薬で一時的に痛みが和らいでも、根本原因が解消していない可能性がある。
症状が強い場合、または長引く場合は必ず医療機関で診察を受けること。
3-3. 専門家による診断方法
医師は、詳細な問診や身体検査、そして必要に応じた画像診断(X線、CT、MRIなど)や神経伝導検査を行います。
問診: 症状の出現時期、痛みの特徴、既往歴や生活習慣について詳しく聞きます。
身体検査: 痛みの出る部位の触診や、動作時の反応を確認。
画像診断: 骨折や神経の圧迫、炎症の有無を視覚的に確認。
検査の例
検査項目 | 目的 | 備考 |
---|---|---|
X線検査 | 骨折や骨格の異常の確認 | 簡便で広く利用される |
CT・MRI検査 | 軟部組織や神経の状態の詳細確認 | 詳細な情報が得られるが、費用や時間がかかる |
神経伝導検査 | 神経の伝達速度の測定による障害の評価 | 症状がはっきりしない場合に有用 |
4 肋間神経痛の治療法
治療方法は、原因や痛みの程度に応じて選択されます。大きく分けると、保存療法、手術療法、そして在宅でできる対処法に分類されます。
4-1. 保存療法
保存療法は、まずは手術などの侵襲的な治療を避け、自然治癒力を促す方法です。主な保存療法の内容は以下の通りです。
薬物療法:
・鎮痛剤: 痛みを軽減するための市販薬(例:イブプロフェン、アセトアミノフェン)や、医師が処方する鎮痛薬。
・抗炎症剤: 炎症を抑えるための薬。
・神経障害性疼痛に対する薬: 帯状疱疹後神経痛などの場合、抗うつ薬や抗けいれん薬が用いられることもあります。
物理療法:
・温熱療法: 温かいタオルや温湿布を使用し、血流を促進して筋肉の緊張を緩和。
・冷却療法: 炎症が強い場合は、冷却パックで神経の炎症を抑える。
・電気刺激療法: 低周波治療器などを使用して、痛みの信号をブロックする方法。
リハビリテーション・ストレッチ:
・ストレッチ運動: 胸郭周りの柔軟性を高め、神経への圧迫を減少させる。
・姿勢改善トレーニング: 長時間の悪い姿勢が原因の場合、正しい姿勢を習得するプログラムが推奨されます。
4-2. 手術療法
手術療法は、保存療法で効果が見られなかった重症例や、神経の物理的な圧迫が明確な場合に限り検討されます。
・手術の例:神経ブロック注射: 痛みの伝達を一時的に遮断する方法。
・神経減圧手術: 圧迫している骨や軟部組織を除去する手術。
注意: 手術は最終手段として位置付けられ、事前の診断や患者様の全体的な健康状態を十分に考慮する必要があります。
4-3. 在宅でできる対処法
自宅でできるセルフケアは、日常生活に取り入れることで症状の緩和や再発防止に役立ちます。
生活習慣の見直し:正しい姿勢の維持(デスクワーク中の姿勢改善、適度な休憩の取り方)
ストレッチや軽いエクササイズの実施
家庭用の温熱・冷却グッズの活用:温湿布やアイスパックを使い、痛みの部位を適宜ケアする
リラックス法の導入:深呼吸や瞑想、軽いヨガなどでストレスを軽減する
セルフマッサージ:痛む部分の血行を促すため、無理のない範囲でマッサージを行う
注意: 症状が改善しない場合や悪化する場合は、必ず専門医に相談してください。
5 肋間神経痛予防と生活習慣の改善
5-1. 正しい姿勢の保持
日常的に正しい姿勢を保つことで、胸郭や背骨にかかる負担を軽減し、神経への圧迫を防ぐことができます。
・具体策: デスクワーク時は背筋を伸ばし、モニターの高さを適切に設定する。
・補足: 姿勢矯正グッズ(クッションやサポートベルト)の利用も効果的です。
5-2. 適度な運動の習慣
運動は血行を促進し、筋肉の柔軟性を高める効果があります。
・推奨される運動: ウォーキング、ストレッチ、軽い筋力トレーニングなど。
・ポイント: 無理のない範囲で定期的に行うことが重要です。
5-3. ストレスの管理
ストレスは筋肉の緊張を引き起こし、結果として神経に悪影響を及ぼすことがあります。
対策:
・分な睡眠や休息を確保する。
・趣味やリラクゼーション法を取り入れる。
・必要に応じてカウンセリングやメンタルケアを利用する。
5-4. 定期的な健康チェックと早期対応
普段から自分の体調に注意を払い、異変を感じたら早期に専門医の診察を受けることが再発防止につながります。
・検診の活用: 定期的な健康診断で、早期に問題を発見する。
・セルフモニタリング: 痛みや体調の変化を記録し、医師に相談する際の参考とする。
6 よくある質問
6-1. Q: 肋間神経痛はどのようにして発生するのですか?
A: 肋間神経痛は、胸部の筋肉の過緊張、外傷、帯状疱疹など、さまざまな原因で神経が圧迫・炎症を起こすことで発生します。日常生活のストレスや姿勢の悪さも影響するため、複数の要因が重なって症状が現れることが多いです。
6-2. Q: 帯状疱疹と肋間神経痛の関係は?
A: 帯状疱疹にかかると、ウイルスが神経内に入り込み炎症を引き起こすことがあります。その結果、皮疹が消失した後も神経のダメージが残り、持続的な痛み(帯状疱疹後神経痛)として肋間神経痛の症状が現れることがあります。
6-3. Q: 自宅でできる対処法はありますか?
A: はい。正しい姿勢の維持、定期的なストレッチ、温熱・冷却療法などが効果的です。ただし、症状が改善しない場合は必ず専門医の診察を受けるようにしてください。
6-4. Q: 肋間神経痛は治りますか?
A: 原因によりますが、適切な治療と生活習慣の改善で多くの場合は改善が期待できます。ただし、帯状疱疹後など一部のケースでは長引くこともあるため、専門医と相談しながら対処することが大切です。
6-5. Q: どのような場合に医師の診察を受けるべきですか?
A:
痛みが急激に強くなった場合
呼吸困難や発熱など他の症状を伴う場合
自己ケアを行っても症状が改善しない場合
早期の診察が重篤な病気の早期発見につながります。
6-6. Q: 保存療法と手術療法の違いは何ですか?
A: 保存療法は薬物や物理療法、リハビリテーションなど非侵襲的な方法で症状の改善を図るのに対し、手術療法は明確な原因(例:神経の圧迫)が特定され、保存療法で効果が見られない場合に行われる治療法です。
6-7. Q: 日常生活での予防法は?
A: 正しい姿勢、適度な運動、十分な休息、ストレス管理が予防の鍵です。日常的に体の状態を整えることで、再発を防ぐことができます。
6-8. Q: 肋間神経痛の再発を防ぐにはどうすればいいですか?
A:
定期的なストレッチや運動で筋肉の柔軟性を保つ
姿勢改善や生活習慣の見直し
症状が出たら早期に休息を取り、無理をしない
これらの対策を継続することで、再発リスクを大幅に低減できます。
7 まとめ
7-1. 肋間神経痛管理の総括
肋間神経痛は、外傷、筋肉の過緊張、帯状疱疹など多様な原因により引き起こされる神経性の痛みです。適切な診断と治療、そして日常生活での予防策を講じることで、多くの場合は改善が期待できます。
(要点):症状の原因を正確に把握することが大切
・自己判断せず、専門医の診断を受けることが重要
・保存療法を中心に、必要に応じた手術療法も選択肢となる
7-2. いつ専門家の診察を受けるべきか
以下のような場合は、早めに医療機関での診察をおすすめします。
・痛みが急激に強くなったとき
・呼吸困難や発熱など、他の症状が伴う場合
・自宅での対処法を試みても症状が改善しない場合
・再発を繰り返す場合
7-3. まとめ
肋間神経痛は日常生活のちょっとした癖や不調から生じることも多いですが、正しい知識と適切な対策で管理することが可能です。痛みを感じたときは、自己判断に頼らず、まずは医療機関での相談を行い、原因に応じた治療や生活改善を行うことが大切です。
次のステップとして、定期的な健康チェックと日常のセルフケアを習慣化し、再発防止に努めましょう。最新の治療法や研究動向も参考にしながら、継続的な健康管理に取り組むことで、快適な生活を送ることができるでしょう。
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この整体コラムを書いた人
整体院整体なお院長・鍼灸あん摩マッサージ指圧師・整体師直井 昌之

経歴
早稲田大学スポーツ科学部卒業
日本鍼灸理療専門学校昼本科卒業
卒業後、修行のため神奈川県市の鍼灸接骨院で働き、ケガの処置やマッサージについて学ぶ
根本的な体の改善を目指すために、トレーニング、理学療法や整体、カイロプラクティック、機能神経学、オステオパシーを学び始める。
自律神経失調症のセミナー フィリップ・ブルディーノD.O
内臓マニピュレーション リタ・ベナモアD.O
内蔵オステオパシー泌尿生殖器セミナー ジェローム・バティストD.O,M.D
オステオパシーの診療における診断と治療 カール・スティールD.O
マッスルエナジーテクニック国際セミナー 頸椎、胸椎、肋骨、腰椎 カイ・ミッチェルD.O
など計700時間以上の研修会に参加
資格
- 鍼灸あん摩マッサージ指圧師
- 中学高校体育教員免許
所属団体
- 日本オステオパシーメディスン協会・スティルアカデミージャパン4期生
メッセージ
オステオパシーを中心とした手技による施術をメインで行っております。
少しでも快適な生活を送れるようにサポートしていければと思います。
「院長あいさつ」にさらに詳しいプロフィールを載せていますのでぜひご覧ください。
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